家プロジェクト
2010

 生と死、人間と自然、現在と過去が包摂した男性的な垂直性を象徴している近代化産業遺構に対し、古来八百万の神々と共に暮らす島民の生活の場である集落は、水平的な時間軸、女性的な日常性を象徴している。犬島「家プロジェクト」におけるこの対のメタファーは、2001年に描いた島全体を芸術とするグランドデザインでの集落の再生の構想と連動する。それは建築的な眼差しでの再生=再建(reconstruct)のみではなく、アートの立場から犬島の集落を特異点とした、物と精神を包括した再生の試みでなくてはならない。
 犬島での「家プロジェクト」が意味するものは、近代化の廃墟に三島を転生させた日本文化批判の装置である『精錬所』を対概念とした、グローバリズムによる世界の均質化への警鐘と文明批判である。そのメッセージは大都市の消費文化の渦中ではなく、日本の原風景的瀬戸内の集落の中でこそ強度を持つのである。
 (「柳幸典 犬島ノート」解説より)











F邸「山の神と電飾ヒノマルと両翼の鏡の坪庭」

ネオン管、ネオン変圧器、プログラミング回路、着色したスチール、鉄骨、スラグ、水




 





S邸「蜘蛛の網の庭」

オリーブの木、13本の矢、繊維(リバーレース)、昆虫









I邸「眼のある花畑」

映像プロジェクション


(2010- / 岡山)

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